不動産の売買において、売主・買主同席の上で重要事項説明を行って売買契約を完了させるという流れが一般的です。
ですが、売主から、「重要事項説明は要らないよ!」と言われたらどうすれば良いのでしょうか?
結論から言うと、「売主への重要事項説明は不要」です。
なので、嫌がっているのに、無理やり重要事項説明をして壊れるならしないで取引をまとめたいところですね。
とは言え、トラブルを避ける為にも、国交省や宅建業協会ではどんな記載になっているのかエビデンスをとっていきたいと思います!
そもそも重要事項説明の意味と目的を確認
そもそも重要事項説明は、買主が買おうと思っている物件で、「それを知ってたら買わなかったのに!!!」というようなことから、トラブルになるのを防ごうという目的があります。
シンプルに極端な例で考えてみると、「購入対象のマンションで過去に自殺があった。」というような場合。ちゃんと説明受けたいですよね?
そして「知っていれば買わなかった!!」というのも理解できます。
もっとも、自殺に関しては、告知義務にも絡む話しになりますので、重要事項説明においてしっかりと告知義務も守る必要があります。
国交省の「重要事項説明・書面交付制度の概要」の資料を見てみると、重要事項説明の主旨として次のような記載があります。
宅地建物の取引は、動産の取引と比べて権利関係や取引条件が極めて複雑であり、それらを十分に調査、確認しないで契約を締結すると、当初予定していた利用ができなかったり、契約条件を知らなかったことによる不測の損害を被ることとなる。
そのような紛争が生ずるおそれを防止し、購入者等が十分理解して契約を締結する機会を与えるため、専門的な知識、経験、調査能力を持つ宅地建物取引業者に説明義務を課しているものである。
出典:国交省の「重要事項説明・書面交付制度の概要」(PDF)
あくまで、購入者を守る為の説明義務という解釈が重要事項説明です。
不動産協会の解説
不動産協会での規定も見ていきますと、公益社団法人全日本不動産協会公式HPでは次のような記載があります。
法律上重要事項を説明しなければならない相手方は、買主・借主です。売主・貸主に対する説明は法的な義務とはされていません。しかし売主・貸主も取引の条件を十分に理解してから取引をするかどうかを決めるべきですので、業者は、売主や貸主にも重要事項を説明しておいたほうがよいと考えられます。
出典:公益社団法人全日本不動産協会公式HP
不動産取引において、第三者的に秩序を守っている不動産協会ですが、売主に対して説明する法的な義務はないとしっかりと記載されています。
ですが、売主側が、「重要事項説明は要らないと言った場合でも、やはり基本的には説明した方が良いですよ。」ということも言えますので、不動産協会の重要事項説明書の雛形においては、売主側の署名・捺印欄が用意されています。
そして、通常は、売主にも重要事項説明の内容を確認してもらい、買主にしっかりと説明しましたと言う双方の署名捺印をもらうことが一般的となっています。
まとめ
以上、売主側に対しての重要事項説明の義務についてみてきました。
最後に結論をまとめておきます。
・重要事項説明を売主側に対してする義務はない。
・トラブル防止の観点から売主側に対してもした方が良い。
・買主側には絶対にしなきゃダメ!(しないと法律違反)
となります。
売主も買主も不動産業者もトラブルがないように慎重に取引を進めていきたいですね。
大切な取引の参考になれば幸いです。