注文住宅やリフォームにおいて、床材を決める時に知っておきたい床材の選び方のヒントをご紹介していきたいと思います。
無垢材と複合フローリングのメリットとデメリットの比較をしながら、それぞれの特徴をつかんだ上で、住宅の印象を大きく変える最適な床材を選択していただければと思います。
また、そもそも、無垢材と複合フローリングの違いがいまいち分からないという方は、前回の記事
でフローリングの種類について詳しく紹介していますのでそちらを参考にしてください。
無垢材のメリットとデメリット
無垢材のメリット
無垢材は、木そのものを使用している為、風合いが良くパッと見の雰囲気の良さがあげられます。
そして、複合フローリングのように接着して作っているものではないので、化学物質も少ないという点もあげられます。
木の持つ特徴としての、調湿作用も優れている為、夏の湿気によるベタつきや、冬のひんやりした冷たさが比較的ないという良さもあげられます。
そのほか、木本来の香りが楽しめる、経年劣化ではなく、経年変化というように、年が経つに連れて、それが味になるというメリットがあります。
より自然に近く、本来自然の生き物である人にとって優しい建材と言えます。
無垢材のデメリット
木の伸縮性により隙間が生じやすいことやわれやそりがおこったり、傷がつきやすく、その補修もまた難しいというデメリットがあります。
簡単に言うとデリケートということです。
傷を味として捉えられなかったり、隙間やそり等が気になる方には、あまりおすすめできない商品となります。
また、そりや、割れが起こるため、床暖房非対応のものも多く、床暖房対応のものもあるのですが、商品の選択肢が狭まるという点も懸念材料となるかと思います。
また価格ですが、複合フローリングに比べ、量産が難しい為コストは高くなってしまいます。
複合フローリングのメリットとデメリット
複合フローリングのメリット
まずはじめに、無垢材とくらべて安価であり、量産が可能な工業製品の為品質にバラつきがなく一定の品質を確保しやすいというメリットがあります。
また、基材となる部分の種類などにより、防音性や耐久性、傷がつきにくい仕上げやワックスフリーなどのものが多いです。
床暖房対応のものの種類も多い為、デザインにも幅があり、お好みの雰囲気のものを探しやすいというメリットがあります。
最近では、より無垢に近い見た目の仕上がりの商品も多く、高級感のあるものを多いです。
突板ではなく挽板の複合フローリングを使用することにより、無垢材よりも安価でありながら無垢材に近い風合いで仕上げることも可能です。
複合フローリングの中には、無垢材よりも価格が高い場合もありますので、一概には言えない部分もありますが、バリエーションが広いというのも一つのメリットになります。
複合フローリングのデメリット
複層に工業化されていますので、化学物質を無垢材に比べて多く使っている点。
また、肌触りも無垢に比べると無機質になりますので、快適さという観点からすると無垢材には及ばないかもしれません。
もちろん好みもありますので一概には言えませんが。
また、経年劣化の観点からするとどうしても劣化という観点が目立ってしまうかとも思います。
ただし商品によっては、天然木の質感を重要視して仕上げているものもあり、経年変化が味になると、うたっている商品もあります。
住宅会社が無垢材をあまりすすめない本当の理由。
無垢材と複合フローリングをどちらにするかをメリット・デメリットの観点から比較すると上記のようになるわけですが、個人的には、無垢材がやはり好きですね。
はだしで歩いた時の感触が違うというのが大きな点です。
感覚の問題なので絶対ではないですが、やはり落ち着くのは無垢材です。
ただし、予算の関係上、他に優先順位が高いものがある場合は必ずしも無垢ではなくても、雰囲気の良い床材は多くありますのでそれを選ぶのも十分ありだと思います。
ちなみに、ハウスメーカーや工務店など住宅会社の担当営業に相談するとあまり積極的に無垢材をすすめないケースって少なからずあるのではないかと思います。
その本当の理由をご紹介しておきたいと思います。
知識不足による理由
大きく分けて3つの理由によるものですが、担当営業の知識不足による理由があげられます。
標準仕様で無垢材になっている会社って、天然素材を売りにしているハウスメーカー以外では、ほとんどないと思うのですが、標準外のものになると、住宅の場合商品が多すぎて把握しきれないというのが一つの原因。
まして無垢材となると樹種(木の種類)によっても特徴が大きく違ってきますし、その特徴を一つ一つ聞かれても知らないというケースが多いと思います。木の特徴ってなかなか奥が深いんですよね。
それに比べ複合フローリングだと大手メーカーの商品だけでもかなりありますし、特徴も商品ごとに整理されていますので説明しやすいという本音の理由があったりします。
施工の難易度による理由
無垢材のデメリットである、割れやそり、傷の付きやすさからの懸念ですが、出来るならやりたくないなと思う点が、施工の難易度です。
養生の仕方一つでも、無垢材に擦れた傷後はついてしまいますし、傷がついてしまうと補修のしようがないということもあります。
引渡し前の傷ですと、そこを言われてしまうと簡単に張り替えれるものではないので、辛いものがあります。
なので、積極的にすすめるのではなく、メリットよりもデメリットを強調してクレームにならないよう、傷やわれ、そり、隙間などが起こる可能性があることを先に話しておくわけです。
予算の問題による理由
注文住宅の営業は、限られた予算の中で提案をしていく必要がありますので、できれば予算が上がることは避けたいという事情もあります。
無垢材となると、会社にもよりますが、数多く仕入れているわけではないですので、どうしても仕入れの値段が割高になってしまうという事情があります。
その中で無垢材を提案してしまうと、予算が跳ね上がります。
限られた予算を上回って提案してしまうと、「最初にいくらまでって言いましたよね?」というように、値切られるのが落ちという懸念もあります。
無垢材にかなりこだわりがあって、「その分のコストアップは仕方ない!」と割りきっているお客様でないと、無理して提案する必要はないという判断になります。
まとめ
新築はもちろんのこと、リフォームも床をいじるとなると、かなりまとまったお金を投入しての一大イベント。
その中で、印象の多くを決定づける床材の選び方についてご紹介してきました。
無垢材と複合フローリングのメリット・デメリット、また住宅会社の事情をよく把握した上で選択で最適な床材選びができることを願っています。
もちろんどれを選んだから失敗ということではないですが、一人ひとり違う好みを反映できる場所ではありますので、満足度に大きく影響が出るポイントです。
是非楽しみながらお気に入りの空間を創っていただければ幸いです。