宅建を受験する友人から、「用途地域が全然覚えられないっ・・・・」という嘆きの声をいただきました。
確かに、宅建の受験時に頭を悩ましてうろ覚えで試験にのぞんだなぁという記憶も私自身あります。
宅建取得後実務を長年に渡ってやってきた今思うのは、用途地域の覚え方のコツがあるなぁと言うこと。
それを友人に話したところなるほど・・・!と言っていたので、ここでも紹介しようと思います。
分かりやすく、図や写真を使って紹介していきます。
宅建試験の受験生にとって参考になれば幸いです。
用途地域とは?分かりやすく解説すると。
まずはじめに用途地域とは?
というそもそものところを紹介します。
辞書によると、
都市の将来のあるべき土地利用を実現するため、建築物の用途・容積・形態について制限を定める地域。1992年(平成4)の都市計画法の改正により住居系の用途地域が細分化され、8種類から12種類となった。
出典:三省堂大辞林
とあります。
なんとな~く分かるような分からないような感じですね。
12種類全てを、順に並べると、
第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域
の12種類です。
実際の地図で色分けするとこんな感じになります。
出典:ZENRIN
地図上で、用途地域毎に色分けをして、その地域に建てて良い建物と建ててはいけない建物を決めています。
ちなみに、この地図は、東京都杉並区荻窪駅周辺の地図です。
出典:Google
航空写真でその地域を見てみると、高層ビルやビル、住宅の棲み分けがさらによく分かります。
もしも、用途地域がなかったら、住宅ばかりの地域に突然、ドンっと高層ビルが建ってしまうということも出来てしまいます。
ですが、それだと日照や人の流れなどに、問題が出てきますので用途地域を定めて制限しているということになります。
用途地域を分かりやすく覚えるコツ
用途地域を覚えるコツとしては、用途地域が実社会の中でどのように機能しているのかをイメージしながら覚えることです。
用途地域と建てられる建物を覚えるのに、文字だけでゴリゴリ覚えるのは相当至難の業。
であれば、実際の街なかの用途地域と照らし合わせてみるのが分かりやすいです。
例えば、上記の荻窪の例をあげて考えてみると、
地図は荻窪駅前のものです。
赤い四角で囲ってある、商業地域で容積率600%というところ。
グーグルアースの3Dで見ると、高層ビル、いわゆる駅ビルが建っているのが分かります。これだけの高さのものを建てる為には、容積率が必要なってきますので、600%の容積率があるからこそのビルということが言えます。
このように、容積率が多い場所というのは、商業地域であることが多いです。
よって、駅前や大型の幹線道路のところは商業地域であることが多く、その付近や商店街があるようなところは近隣商業地域であることが多いです。
逆に言うと、商業だと駅前などのイメージで、近隣商業地域だと、商店街のような地域ということが分かります。
また、そこから離れると、1中、1低という用途地域になっていきます。
1中は、1種中高層住居専用地域、1低は、1種低層住居専用地域です。
駅から離れるにつれて住宅街が広がっているという状況ですね。
航空写真を見るとそのようすがなんとなく分かります。
そして、1低層だと、建ぺい率50%容積率100%というところが出てきます。
この意味は、敷地の半分までしか建物を建ててはダメで、敷地面積までの大きさの建物としてくださいね。
ということですので、敷地の半分は庭。そして2階建てがめいいっぱいの建物の大きさになります。
よって、用途地域によって、強制的に庭付きの一戸建てが出来上がるということになります。
ちなみに、都内の一つの基準となっている建物の大きさは、30坪で約100㎡です。
1種低層住居専用地域の50%100%のと場所にこの大きさの建物を建てるためには、少なくとも100㎡の土地は必要になってきます。
さて、荻窪周辺の坪単価で言うと、2018年7月、現在200万円~250万円で売りにだされているところが多いようです。
そうすると、30坪の土地だと、土地代金だけで、6000万円~7500万円ということになります。
結果、庭付きの一戸建て1億円というような富裕層のイメージが出来上がっているということが読み取れます。
実は、用途地域によってこんな棲み分けまで出来ているんです。
また、荻窪がある中央線沿線が人気なのは、駅からちょっと離れると住宅街が広がっている為、利便線と閑静な住宅街が住み分けられえいるという点も人気の理由の一つです。
つまり、用途地域を覚えるコツは、実際の街なかと照らし合わせながら用途地域を分類して建てられる建物を区別していくと覚えやすいです。
では、続いてどうやって用途地域を調べるのかを紹介していきます。
用途地域の調べ方と楽しみ方
写真は渋谷のスクランブル交差点。
ここの用途地域は、商業地域。
出典:ZENRIN
駅の方は、容積率が1000%ですが、QFRONT(ツタヤ)の方は、800%のようですね。
用途地域の調べ方は、区役所のホームページから用途地域が調べられるようになっていることが多いです。
「○○区、○○市+用途地域」で検索すると出てくることが多いです。
出てこない場合は、市区町村の役所にて、用途地域は調べられます。また、色分けされたマップが販売されていたりします。
厳密に調べていくと時間がかかってしまうので、おすすめしませんが、遊びに行くついで、仕事でよく行く場所、実際に住んでいる家の周辺など、
日常的に立ち寄る場所と用途地域を照らし合わせてみると理解が進みます。
実際の街なかで用途地域がイメージできてくると、建てられる建物もイメージできますので、○×を考える時に違和感を感じられるようになったりします。
閑静な住宅街の1種住居専用地域に、飲食店があったら違和感あるかな・・・というように判断できます。
余談ですが、この1種住居専用地域には飲食店や店舗はNGなのですが、高齢化が進むにつれて、せめてコンビニがあれば・・・
という希望も多く、現在見直しが検討されているとのことです。
もしも法改正があれば、試験にも出やすいポイントなので併せて覚えておくと良いでしょう。
現実的なニュースは意識しておけば覚えやすいですもんね。
こうやって、用途地域の区別で、街が実際にどのように出来上がっているのかを知るのって楽しいことだと思います。
下町とよばえるようなところは、町工場から発展してきていますので、準工業地域が広がっていたりしますし、田園調布などの高級住宅街は、1種低層住居専用地域が広がっていて、さらには、建ぺい率40%、容積率80%と厳しい条件になっていたりします。
机上の論理だけだと無味乾燥している用途地域ですが、生活とイメージを重ねると楽しみながら覚えられると思いますよ。
宅建受験される方にとって役にたてば幸いです。