「住宅すごろく」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
世代によって、常識的に知っている世代と全く聞いたことがないという世代に分かれるかと思います。
「住宅すごろく」とは、過去にライフプランによる住まい方の理想とされる生き方です。
「夢のマイホーム」という言葉にもあるように、ゴールが庭付き一戸建てのマイホームとなっていました。
「住宅すごろく」のゴールであった、理想の到達点は、時代の変化とともに、今は空き家予備軍というように、問題の火種のポイントとされている現状もあります。
不動産業界に身をおいていると、思っている以上に不動産というのは、理想と現実をつきつけてくるものだと感じています。
2018年現在の空き家問題を住宅すごろくという観点から考えてみたいと思います。
住宅すごろくとは?
住宅すごろくとは、1970代に流行した住む家の理想とされたライフサイクルをゲームのすごろくのように表現したものです。
具体的には、
アパート賃貸一人ぐらし→結婚→分譲マンションを借りる→分譲マンションを買う→分譲マンションを売却→庭付き一戸建てを買う
というすごろく。
アパート賃貸から家の購入という流れは、2018年の今も普通にある流れですよね。
違うのは、「分譲マンションを買った人が売却して、庭付き一戸建てを郊外に買う。」という点です。
昔は、庭付きの一戸建てを買うのは高すぎるので、まずは区分所有のマンションを買って、その後値上がった時に売却して利益を得る。そして、一戸建てを購入する。
というのが資産形成の理想とされていたのですが、この背景には、土地の値段は上がり続けるという神話があったことが考えられます。
そして、この当時の「住宅すごろく」のゴールとされたいた、郊外の庭付き一戸建ては、空き家となると懸念されていて、社会問題化しつつある現場です。
空き家問題の実情
空き家という言葉が、頻繁に聞かれるようになってきました。都市への一極集中が主流とされており、郊外や地方の空き家がどんどん増えてくると問題になっています。
その為、地方移住を奨励する制度や施設団体も増えて来てはいますが、実は東京においても、町田市や三鷹市なども空き家が増えるだろうと予想されています。
つまり、少子化の波は止めようがないということなのかもしれません。
その波をうけて郊外のみならず都心においても空き家は増加してきています。
解体して更地となると税金が上がる為、もしくはそもそも解体する費用がかかる為、空き家のまま放置されているところも多く、行政では、危険とされるものに助成金を出して、また固定資産税の減免制度を設けたりと、空き家の解消を促しています。
不動産と時代の波
不動産と時代というと、真っ先に思い浮かぶのがバブル崩壊ではないでしょうか。
私はバブル時代を知らない世代ではありますが、不動産業界にいると、バブル時代の話を聞くことが多々あります。
信じられないような値段で当時は売買されていたようです。
現在では、坪単価200万円ぐらいの土地が、バブル時代坪単価2000万円ぐらいしていたとか普通にあったようですね。
そして、それでも売れたのは、土地の値段は必ず上がると信じられていたので、とりあえず買って売りに出せばもっと高額で売れるというのが当然のことだったようです。
今聞くと、ありえないような話しですが、当時はそれが普通の感覚だったということです。
住宅すごろくという言葉も現代においては、ピンとこない言葉だと思いますが、当時はそれが理想と、信じられていたのでしょう。
それが空き家問題になるとは全く思わずに。
さらに、バブル時代の産物で、地方のリゾートマンションなども深刻な状況になっているとこも多いです。
温泉付きのマンションなどで、管理費と修繕積立金は結構な金額がします。
そして、固定資産税も当然かかります。
ですが、さびれた観光地になってしまっていて、ゴーストタウン化している。
もっているだけで経費がかかるので手放したいが、売るに売れない。
という残酷な現状。
1万円で区分所有マンションを売りに出しても売れないという現実がそこにはあるようです。
バブル時代は、このマンションは当然値上がりするものとされていたので、要らなくなったら売却しようと計画されていたようです。
2018年における住宅すごろくのゴールは?
住宅すごろくのゴールは、時代とともに変わっていくというのが結論ですね。
そして現代における住まい方は、これが理想というのはないように思います。
個人によって、家族によって、理想とするライフスタイルが違うように、そのライフスタイルに基づいた住まい方があります。
都心と地方に家を持って、デュアルライフを行う人。
気軽に移住できることから、持ち家を持たないことにメリットを感じている人。
マイホームに幸福感を見出して家族の家を楽しむ人。
資産運用の一貫として、不動産を所有する人。また売買する人。
引退後は、都心の家を売却して、地方に移住して自営業を始める人。
価値観が多様化する中で、住宅すごろくのゴールは人それぞれに設定されているように見受けられます。
そして、不動産を利益追求のみで捉えると時代の波にのまれて損した得したと一喜一憂するものになってしまいます。
ですが、家を持つ持たないに限らず、ライフスタイルの一貫として、家造りを楽しむこと。持ち家を好きにDIYして趣味的に過ごす人。空き家を安く手に入れて、自分で直して生活すること事態を楽しむ人。
そんなスタイルで、生き方としての住まいを捉えれると素敵だなと思います。
住宅すごろくのゴールが空き家問題とされていたとしても、将来子供が別荘として使ってデュアルライフを楽しむものになるのなら、それは問題とされる空き家ではなくて、家族にとってもかけがいのない「資産」になると考えられます。