建築工事において、上棟や建方という言葉があります。
上棟式という言葉は比較的よく聞く言葉だと思いますので、上棟の方がピンとくるという方も多いかもしれません。
上棟、建方のどちらの言葉も意味はなんとなく分かりますが、「その違いって何?」と聞かれると、区別は難しかったります。
同じ意味で使っていますが、そもそも違いってあるのでしょうか?
上棟、建方以外でも、棟上げ、建前など色々な言葉がありますがそれぞれの違いについて紹介していきます。
上棟・棟上げとは?
上棟と棟上げ(むねあげ)は同じ意味として使われます。
辞書によると、
家を建てるとき、骨組みを組み立て、最上部に棟木(むなぎ)を上げること。また、そのときに行う儀式。上棟(じょうとう)。建前(たてまえ)。
出典:デジタル大辞泉
とあります。
つまり、上棟、棟上げ、建前は同じ意味ですね。
骨組みを組み立てて、棟木を上げることが上棟ということですので、棟木とは何か?が分かればスッキリします。
出典:https://polaris-hs.jp/zisyo_syosai/kashitannpo.html
図のように家の一番上の木が棟木で、棟木まで組み上げることを上棟と言うわけですね。
上棟式は、無事の竣工と災難がおこらないことを祈念することであるので、棟木を上げることではじめて家の形が出てくることから、建築礼儀としても意義深いものがあります。
建方(たてかた)とは?
2つづいて建方とは?
建方もしくは建て方と書くこともあります。
辞書によると、
① 建築物などを建てる方法。
② 現場において構成材を組み立てること。木造建築では土台・柱・梁・小屋組を組み上げる棟上げまで、鉄骨造建築では仮ボルト締め・歪み直しまでの作業をいう。
出典:大辞林 第三版の解説
とあります。
つまり、建て方は、構成材を組み立てる行為を指すもので、棟上げまでの工程に対して名前がついているというイメージですね。
上の写真のように、骨組みを組み上げていく工事が建て方であるという認識で間違いないでしょう。
上棟と建て方の違いは?
上棟も建て方も、建築工事の内容としては同じ作業を指していると言えます。
なので、同義としても間違いではないでしょう。
では、「その違いは何なのか?」と考えてみると、上棟式というように、上棟には、建築礼儀としての意味が含まれているのに対して、建て方は、工事の作業内容を純粋に指す言葉と言うことが言えそうです。
建て方式とは言わないことから、その意味の違いも感覚的に受け取れます。
家を建てる時に、上棟や建方、建前という言葉が出てきた時は基本的には同じ意味として捉えて良いと思います。
近年は住宅において、上棟式をやることはほとんどなくなっています。(地鎮祭をやることは多い。)上棟式をやらないとなると、なおさら上棟と建て方の違いはなくなってくるのではないかとも考えられそうです。