建売住宅のご案内や、注文住宅の打ち合わせの時に、「この間取り良いですね~!」とお言葉をいただけるときがあります。
また、自分自身が、この「間取り良いなぁ~」と思うこともあります。
とは言え、「良い間取りってどんな間取りですか?」と聞かれると、「一言でこれです!」と言えるものではないですし、そもそも建売住宅を見ても、それぞれの設計士が良い間取りと思って書いているのに、良い間取り悪い間取りは実際に存在します。
建売住宅の購入や注文住宅のプラン検討において、より良い間取り選びのヒントとなる為に、また、間取りの設計において後悔しない為に、良い間取りと悪い間取りの違いについて考察していき、間取り検討のコツをまとめてみたいと思います。
後悔してしまった間取りとは?
良い間取りを知る為に、まずは実際に後悔してしまった間取りを紹介していきます。
将来的に間取りは変更できますという後悔
一戸建てや最近ではマンションでもありますが、将来的に間取りを変更できるというプラン。
子供が小さい時は、一つの部屋で、個室が欲しくなったら仕切って二つの部屋に分けるようにする!
という可変性が売りの間取り。
子供が小さいうちは良いですし、子供が一人の時に家を建てて、二人になったという場合にも対応できます。
そして、最初は広い子供部屋におもちゃを置いて遊ばせられるのも魅力的!
ということで、広い一部屋にしておいたのですが、、、、いざ二つの部屋に分けるとなるとその時のリフォーム代の捻出がとてもつらい!
新築の時に、二つに分ける工事はだいたいいくらぐらいか聞いてみるものの、10万円もあれば十分ですよ~というような話しだったかと思うのですが、新築の10万円と、日常生活を送っている中での10万円は重さが違うという・・・・。
新築の時って、何千万の中の10万円でしかも住宅ローンをあてにしての計画ですから金銭的に麻痺してましたが、日常生活になると・・・・
やっぱり最初から二つの部屋にしておけばという後悔。
ちなみに、、、子供の時は広い子供部屋で遊ぶから・・という期待に関しては、子供の時は、広い子ども部屋で子供だけで遊ぶことはほとんどなく、大概リビングで遊んでいるのであえて子ども部屋で遊ばない。
むしろ一人になりたがる年になった時にやっと部屋に行くようになるが、その時には個室が必要という。
あえて広い部屋にしておく必要はなかったなという後悔が。
入居後の外構工事をあてにしたプランニング
間取りを計画する時に、お風呂の窓の先に坪庭をつくり、リラックスできるお風呂に優先順位を置いて間取り設計しました。
坪には、どんな植物を植えるか、土のままにするのか、芝生にするのか、はたまたタイルにするのか、タイルならどんなタイルか。
そして、坪庭と隣家の間は、もし視界が気になるなら背の高いフェンスで目隠しをしよう。
という意図のもと、あとは生活してからより良いものを検討しようと言う話しでした。
それが、住んでみると、引っ越し片付け、ばたばたしているうちに日常生活のスタート。日常生活には、家事もあれば仕事もあります。
そうこうしているうちに、新築時にあった熱はいずこへ・・・!?
日常に飲み込まれるまま、残ったいるのは、放置されている坪庭。やりたいなぁと思いつつ時間も投入する資金もたまらず・・・
やっぱり新築時に外構もしっかり仕上げるべきでした。
生活がイメージされている間取りは良い間取り
紹介した失敗例から言えることは、なんとなく良いなぁと思うイメージとリアルな生活がマッチしていないという点が原因です。
「憧れの新築」という妄想で良さそうと思う間取りを入れていった結果、リアルな日常の中では、その間取りを活かしきれなかったという結果に。
そこから学べるのは、「どこまでリアルに日常生活を想像して間取りが描けるか?」ということが言えます。
日常生活をよりリアルにイメージするというのがコツです。
憧れだけをイメージすると後悔に繋がります。もちろん、憧れのイメージはせっかく新築ですので大事な要素です。なので、憧れと日常生活をリアルにイメージしていきます。
例えば、以下の写真のような部屋に憧れたとします。
リビングの壁が全部レンガで非常にかっこいいです。
こんなリビングにしたいなぁという憧れがあるでしょう。それと日常を厳密に想像をしていくというのはどういうことかと言うと、
レンガとレンガの凹凸のホコリの掃除が大変そうかな、どうやって掃除するか、それともホコリは気にしないのか。
子供が小さい時に、部屋を走り回って壁にぶつかったらかなり痛いかな。
壁の下にレンガの粉がおちそうだけど、細かい部分掃除できるかな。
とか細部に渡って想像していきます。なんだか夢を壊すようですけど、そうではなくて、リアルに大変そうな側面もあるけど、仕事を終えて帰宅したあとこの部屋でお酒のみながらゆっくり時間を過ごせたら最高に幸せ。
と思えるなら、レンガを敷き詰めたこのリビングは良い間取りだと考えられます。
逆に、ゆっくりしている時にレンガの間にたまったホコリが目についてソワソワする!と後悔してしまうなら悪い間取りと言えることになります。
つまり、良い間取りと悪い間取りの違いは、リアルな日常生活をイメージできている間取りかどうか。
という点に集約できると考えられます。
間取り検討のコツは、熟考すべきポイントを知ること
日常生活をリアルにイメージできる間取りを考えると言っても、いざイメージするとなかなか難しいと思います。
というのも漠然としすぎてしまうので何をイメージして良いか分からないからです。
なので、イメージする為のコツとしてチェックポイントを上げてみました。
動線をイメージする。
家に帰ってきて、車をどうやって止めて、どうやってドアをあけて荷物を出して、玄関にはどれだけの距離を歩くのか、雨が降っている日は濡れずに入れるのか、郵便受けをあける時に手紙は濡れずに出せるのか?
そして玄関を入ってどこの部屋にまずいくのか?リビングなのか部屋一度入ってからリビングへ行くのか。
またリビングで過ごしてトイレやお風呂に寝室へ行く時にはどういう動線になるのか?
また客人が来た時はどういう動線でどこに集まるのか?トイレに行く時はどこを通ってトイレに行くのか?そこにプライベート空間を通る必要はないか?
よくある後悔はリビングからトイレに入る間取りになっているもの。リビングに居る時にトイレに入るというのは気まずいという後悔はよく聞きます。リビングに一番居るからトイレが近くにあった方が良いと思いきや、シチュエーションによって後悔が生まれるという仕組みです。
このように、時系列や登場人物などにそって、間取りを見ながら生活をイメージしていきます。
そうすると、自ずと良い間取りが出来てきます。
収納やコンセントなどをイメージする
収納やコンセントは日常生活と直結していますので、リアルに想像しやすいと思います。どこにどんなものをどれだけしまいたいか?
家具やOA機器、掃除機などの家電、どこに何を使ってどこに片付けるか?という点をイメージしていきます。
最近では、ロボット掃除機の置き場を間取り設計で取り入れるということもされています。
ロボット掃除機が自然と帰れる場所をクローゼットの中などにプランニングしてそこにコンセントも入れておくというように生活をイメージした間取り設計が考えられます。
後は、電動自転車の充電器をどこに置くか?シューズインクローゼットの中に同様にコンセントを設けておく。
というように、使っている家電や使うことになるであろう家電などをイメージすることが重要です。
窓の高さや大きさのイメージ
3階の子供部屋の窓の位置。窓の高さがあまり低いと落下の危険もあり怖い。というのはよくよく考えられることですが、子供がベッドに上がった状態での、窓の位置関係というところまではあまり考えられていません。
そのイメージで例えば、窓の高さを高い位置にするとか、大きさを変えるとか、もちろん採光も考慮。
またその窓から何が見えるかも大事な要素ですので、しっかりと検証しておきたいポイントです。近隣との窓の重なりや視野的に問題がないかなどもイメージは重要です。
家族にとっての良い間取りのイメージ
良い間取りと悪い間取りの違いは、住む家族にとって良い間取りなのか悪い間取りなのかが全てです。
一般的におすすめとされている間取りがあっても、それがすべての家族にあてはまるということはありません。
ライフスタイルも違えば家族の人数も年齢も違います。
その中で万人受けする間取りはありません。
大事なのは、買主や建主にとって良い間取りかどうか?
つまり、良い間取りのコツは、それぞれの家族のリアルな生活、何気ない日常を細部に渡ってイメージすることです。