2018年(平成30年度)の新築の補助金において、LCCM住宅に、上限125万円という補助金が国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業」より出ることになっています。
LCCM住宅と言う住宅は、あまり馴染みがないのではないかと思っているのですが、読み方は、エルシーシーエム住宅。
ライフサイクルカーボンマイナス(LCCM)住宅です。
LCCM住宅とは具体的にはどういう住宅なのか?
補助金をもらう為の住宅の基準はどうなっているのか?また、LCCM住宅を建てるにはどうすれば良いか?
という点について、紹介していきます。
LCCM住宅とは?
LCCM住宅とは、国交省のホームページによると、
建設時、運用時、廃棄時における省CO2 の取り組みや再生可能エネルギーの創出により、ライフサイクルを通じてのCO2の収支をマイナスにする住宅
とあります。
目的は、地球温暖化対策の為にCO2を削減することです。
CO2を削減の考え方に、ライフサイクルカーボンという概念があります。
住宅を建てる時、住んでいる時、解体する時のそれぞれで、CO2を削減する為の対策をしていった結果、住宅の一生を通じて、CO2が結果的に減るという状態を目指した住宅が、LCCM住宅です。
建設時に発生する二酸化炭素量
建設時に発生する二酸化炭素量を考える時には、構造別で考えます。
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などによって発生する二酸化炭素量が異なります。
出典:https://www.env.go.jp/council/06earth/y0614-03/mat02.pdf
こちらは、環境省の資料ですが、住宅1棟を建設する時の二酸化炭素量のグラフになります。
RC造は、鉄筋コンクリート造のことです。
ご覧のように、木造が一番二酸化炭素の発生量が少ないことが分かります。
運用時の二酸化炭素の考え方
建築物の二酸化炭素量を考えると、運用時つまり、住んでいる時が一番二酸化炭素を使います。
お風呂のお湯を沸かす、料理する、冷暖房機器を使う、電気を使う・・・エネルギーを使うことによって、二酸化炭素は発生します。
電気で二酸化炭素というとピンと来ないかもしれませんが、火力発電をイメージするともくもくと煙あがるので分かりやすいですよね。
それを、太陽光発電で昼間発電して、蓄電池で蓄えて夜使う。もしくは、エネファームでお湯を沸かすと同時に発電する。
というように、電気を家でつくることによって、二酸化炭素の消費量は減らすことが出来ます。さらには、売電することによって近隣に二酸化炭素を発生させない電気を供給することが出来ます。
また、家での冷暖房を使用する時の二酸化炭素の発生を削減する為に、省エネ機器がありますね。☆の数で省エネのグレードが分かるようになっているのを見たことがあると思います。
さらには、家そのものの性能を上げて、夏涼しく、冬に温かい家にします。魔法瓶のような家と言いますが、一度冷やしたらずっと冷えて、一度温めたらずっと温かい家というのを断熱性能を高めることで可能になります。
外部からのエネルギーを上手に取り込むことで、運用時の二酸化炭素量をへらすことも出来ます。
その結果、住み続けることで、二酸化炭素を削減できる住宅という状態へ持っていくのが、LCCM住宅です。
解体時の二酸化炭素量の考え方
解体時における二酸化炭素量については、構造による違いになってきますので、建設時の二酸化炭素量と同じ考え方となります。
LCCM住宅にする為のポイント
LCCM住宅にする為のポイントは、
「建設および廃棄にかかる二酸化炭素量を創エネによって消化していく。」という点。
図解すると以下のとおりです。
出典:国立研究開発法人建築研究所
従来の住宅は建設時を起点として、二酸化炭素量は増え続けるだけでした。
それを、建設時を頂点として、家に住み続ければ住み続けるほど二酸化炭素の排出量を削減できるというイメージです。
ここでポイントなるのは、
住宅の寿命が長ければ長いほど、二酸化炭素量が削減できるという点。
スクラップ&ビルドの時代が終焉して、ロングライフの住宅が求められるようになった理由はここにあります。
その結果、リフォームへの補助金も様々出てきています。
LCCM住宅の補助金のもらい方を分かりやすく。
LCCM住宅の補助金をもらうからには、LCCM住宅の基準を満たす必要があります。
ありますが、お施主様がみずかLCCM住宅の補助金の対象を理解する必要はありません。
このLCCM住宅の補助金は、「サステナブル建築物等先導事業」の補助金です。
この補助金は、民間企業に対しての補助金になりますので、民間企業が応募して補助金をもらう仕組みになります。
なので、個人のお施主様がLCCM住宅の補助金をあえて利用するというよりは、ZEHの補助金を活用するというのが一般的になるでしょう。
関連:平成30年度(2018年)のZEH(ゼッチ)の補助金を分かりやすく。
ちなみに、民間企業でLCCM住宅の補助金を活用しようとしている場合は、以下が公式の申込になりますのでリンクを貼っておきます。
応募期間は、平成30年4月24日(火)~平成30年6月13日(水) (消印有効)となっています。
まだまだLCCM住宅は一般的とは言えないですが、その手前のZEHはずいぶん目にするようになってきましたし、各ハウスメーカーでも標準的にZEH対応とするところも増えてきています。
2018年は、補助金も活用できますので、この機会にZEHの建築を検討してみるのはいかがでしょうか。