家の新築の時に行う基礎工事の前に行う工事が、地盤改良工事です。
やった方が良いんだろうなぁと言うのはなんとなく浸透しているものの、具体的にどんな工法の種類があるのかというと結構難しい。
地盤改良工事は、地盤調査を行った結果として、地盤改良工事の方法が決まり、見積もりが出来るという流れで、業者まかせになることがほとんど。
基本的には解体工事が完了しないと調査は出来ないので、地盤調査から工法を決めて工事をするまでに時間がないことがその大きな理由です。
その結果、言われるままの方法で、言われるままの見積もりで地盤改良工事をするということに。
もちろんそれでも良いのでしょうが、やはり何をしてるのか知りたいと思いますので、「地盤改良工事とは?」というところから紹介していきます。
地盤改良工事とは?
「地盤改良工事とは、そもそも何?」というところから紹介します。
地盤改良工事とは、辞書から引用すると、
構造物を地盤上に構築する場合、あるいは地盤を掘削したり、土を建設材料として用いるような場合に、自然のままの地盤では安定性が不足することがしばしばある。このようなとき、人工的な手を加えて地盤または土の性質を改良することを地盤改良という。道路、滑走路の路床、路盤など比較的浅い基礎地盤を対象とした改良は土質安定処理との呼び名で区別されることもある。
引用元:日本大百科全書(ニッポニカ)
要約すると、「構造物を建てる場合に、安定性が不足することがあるので、地盤を補強する。」と言うことです。
地盤改良の目的は?
では、補強しないとどうなるかと言うと、建物が沈んでいってしまう可能性が危惧されます。これを不同沈下と呼ばれています。
その結果、建物が傾いてしまうという問題に繋がります。
数年前に、横浜の傾斜マンションと言われ、地盤改良の偽装問題で話題になっていました。まさに、これが地盤改良をしっかりとしなかった場合に出てくる危険性です。
地盤改良の方法は、何を建てるかによっても異なる。
地盤改良工事の方法は、土地の上に何を建てるかによって異なります。
マンションのような大きい建物を建てる場合は、何十メートルにおよぶ杭をうち、岩盤面にまで届かせてしっかりと固定する必要があります。
ですが、木造の一戸建て住宅の場合はそこまでする必要はありません。
理由は、軽いからです。
地盤改良工事をイメージするのには豆腐が分かりやすいです。
豆腐の上に、軽いネギやかつお節を載せても沈むことはないですが、重たいものを乗せると沈んでしまいます。
重たいものを載せた時に沈まないようにする為には、下のお皿の部分まで杭を打ってお皿と豆腐の上のモノを固定してしまえば良いということですね。
戸建ての場合は、軽いのでお皿まで届かせなくても、豆腐を固めたり、表面だけ固いものを詰めたりすれば、地盤沈下が起こらないということです。
つまり、地盤改良工事は、何を建てるのかによって、方法は異なります。例えば、一戸建ての住宅と言っても、木造なのか、鉄骨造なのか、鉄筋コンクリート造なのかでも違います。
一般的に一番簡単な方法で出来るのは木造住宅です。また木造住宅と言っても大きさや2階建か3階建かでも異なってきます。
このページでは、木造の一戸建て住宅における地盤改良工事の工法の種類について紹介していきます。
ちなみに、家を建てる土地が、絹豆腐なのか、木綿豆腐なのか、厚揚げ豆腐なのかでもともとの強度が異なってきますので、どんな豆腐の中身になっているのか調べるのが地盤調査です。
地盤の調査結果と建てる建物によって改良方法が決まるという流れです。
地盤改良工事の3種類の工法について
木造の一戸建の場合は、主に3種類の工法に大別されます。
・「表層改良」
・「柱状改良」
・「鋼管杭工法」
の3つです。
それぞれの内容を見ていきます。
表層改良とは?
表層改良工事は、土地の表面にセメントを混ぜることによって、建物を建てる場所の地盤を固める方法です。
支持層と呼ばれる固い層の上の表面の部分のみを固める方法となりますので、軽い建物向きの工法です。
木造の一戸建ての場合には3階建てでも表層改良を行うことがあります。
費用は比較的安価となることが多いですが、セメントを入れる分、土を搬出する必要があります。そのため、トラックを敷地につけて工事を行えるかどうかによって、費用は大きく異なります。
もしも車を止めれるところまで搬出が必要だとするとそれだけの手間も増えるので工期も伸びてきます。よって道路条件に左右される点はデメリットと言えるかもしれません。
図でイメージすると上図のようになります。
実際に工事をしているところは下記動画をご参照ください。
ホコリが舞う点や重機を必要とするところから、都心部の狭小地だと不向きとなることも。
柱状改良とは?
柱状改良工事とは、地面の中で柱上にセメントを流すことによって、柱をつくり、その柱で建物の重さを支える工法となります。
木造の戸建て住宅を建てる場合には一般的に行われる方法です。
改良工事が完了して基礎を作り出す前の期間にボコボコと丸いものが表面に出てきている状態をよく目撃しますが、この丸いものの正体は柱状改良のセメントです。
下記動画にも出てきますので、「あ~みたことあるなぁ」という方もいらっしゃるかもしれません。
概念図は上図のとおりです。
比較的良好な地盤面まで柱状のセメントを流して支えていきます。
実際の施工現場の動画も合わせてご参照いただくと理解しやすいかと思います。
鋼管杭工法とは?
3つ目に紹介するのが、鋼管杭工法です。
鋼管杭工法は、小口径の単管パイプを複数打ち込んで、地盤を固めて支える工法となります。一本あたりの太さは50mm程度のものとなります。
この工法の特徴は、施工しやすいことです。小型の機械での施工が可能なので、都心部や道路の狭いところや狭小地ではこの工法をとることが多いです。
また、小口径のパイプを打込むので土を出す必要もほぼないので、ほこりが立ちにくく、密集地で近隣への配慮にも繋がるのもメリットです。
概念図は以下のとおりです。
鋼管杭工法は、1本1本の間隔が狭く設計されるので多くの本数を打込むことになります。例えば、20坪程度の土地で150本ほど打設することも多いです。
本数に関しては、地盤調査の結果や建物の重さ大きさによって増減します。
実際の工事現場の動画は以下のとおりです。
3つの工法の選び方は?
木造一戸建てを建てる場合の地盤改良工事の3つの種類について紹介してきましたが、では「実際にどの工法が良いのか?」という選び方について考えみたいと思います。
地盤改良工事の3つの種類をもとに各社がやり方を開発しており独自のやり方で工事をしています。
例えば、柱状改良では、コラムZ工法、NSV工法、鋼管杭工法では、RES-P、DM工法、SMDなど。
地盤改良工事ではイメージしにくいかと思いますが、例えば、家を考えた時に、木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの工法の種類はあります。
同じ木造住宅の中でも、ハウスメーカーによって様々な工法があるのと同じです。
つまり一つ一つ細かく見ていくと非常に難しくなってくるというのが言えます。
その中から、これぞ!という地盤改良工事を選ぶというのは実質的に困難ではないかと思います。結局は信用問題になってきますが、ハウスメーカーも、地盤改良工事を検討する時に、自社の建物とエリアでどの工法が一番ベストなのかを検討して採用しているはずです。
なので、基本的には、ハウスメーカーにお任せすると言うのがベストだと僕は考えています。ただし、希望の工法があるとするのであれば、先に伝えておいて、希望の工法での見積もりももらうのも良いかと思います。
立地的な要件で出来る出来ないはありますが、希望の地盤改良工事も検討してくれる可能性はあります。
そして、完全に任せると不安があるという場合でも、地盤に関しては10年間の保険が適用されます。その保険を適用する為に、地盤調査をして必要な強度を得られるだけの地盤改良工事の方法が検討されますので、実施できる工法であれば、地盤に対する保険は適用されるので安心という見方もできます。
地盤改良工事の費用と必要性については、下記コンテンツにて詳細に記載していますので、よろしければあわせてご参照ください。
基本的にお任せする中でもどんな地盤改良をしたのかを知っていると住んだ後の安心感にも繋がりますので知識は広げておくと役にたつと思います。