「地鎮祭ってやった方が良いんですか?」
注文住宅のお施主様よりよくいただく質問です。
やった方が良いのか、やらない方が良いのかは、人それぞれの考え方によりますので一概にどっちとは言えないところです。
地鎮祭は、お金のかかることですし、しないと家が建たない訳ではないので、積極的にはおすすめはしていません。
ただし、「気になるのであれば、やった方が良いと思いますよ。」とは伝えています。
我が家を建てる時にも地鎮祭をするかしないかは少なからず検討しました。
そもそも地鎮祭とは何なのか?という点からはじまって、実際にやっている人の動向なども含めて検討した結果、我が家としてはやらないことにしました。
では、どうやって考えた結果やらないことになったのか、逆に、やった方が良いですよと言う理由についてご紹介していきます。
地鎮祭をやるかやらない迷っている方に参考にしていただければれば幸いです。
そもそも地鎮祭とは何なんのか?
地鎮祭は、建替えをするとき、解体後の更地の状態で、土地の神様を祭り、工事の安全と無事を祈願することを言います。
「触らぬ神に祟りなし」と言うことわざがありますが、土地を掘って建築していくということは、土地の神様にさわるので、神様にご挨拶して工事の無事を見守ってもらうという儀式というイメージですね。
地鎮祭の発祥の起源は?
地鎮祭の発祥の起源は、もっとも古いところだと弥生時代。
遺跡からその名残が見られることから地鎮祭は既にこの頃から行われていたのではないかと言われています。
そして、書物による記録では、日本書紀において地鎮祭を行った記述があります。
飛鳥時代の持統天皇5年の時の記録です。
地鎮祭の歴史の古くは、弥生時代の遺跡群からの出土品に、その名残が見られます。
日本書紀にも地鎮祭の記述がみられます。持統天皇5年(691年)には、藤原京の造営に際して地鎮祭を行ったとの記載があります。
出典:http://www.jichin-sai.net/history.html
昔からやっていると言うとなんとなくやった方が良いのかなと考えたくなってしまうものではありますね。
地鎮祭をやった方が良い理由とやらなくても良い理由
地鎮祭をやった方が良い理由とやらなくても良い理由を紹介していきます。
まずは、やらなくて良い理由を紹介していきます。
やらなくて良い理由
極論的には神仏の世界ですので、信じないのであれば、やる必要はないと思います。
また別の角度から見ると、実際に地鎮祭をやっている新築の方が少ないという点も言えます。
国交省発表の平成29年度の新築の着工棟数を見てみると、注文住宅と建売住宅の数は、それぞれ以下の通り。
平成29年度 | 着工棟数 |
注文住宅(建替) | 284,283 |
建売住宅 | 255,191 |
出典:建築着工統計調査報告(平成29年計分)
これを見ると、年間の新築の割合は建替えの場合と比べると、若干は建替えの方が多いものの半分近くは建売住宅ということが分かります。
建売住宅において、地鎮祭をしているかと言うと、地鎮祭はやっていません。
もしかしたらやっている企業もあるかもしれないですが、聞いたことがありません。
では、建替えの場合で地鎮祭をしている方というのはどれぐらいいるかと言うと、多く見積もっても半数ぐらいではないかと思います。
なると、地鎮祭をやっている方といのは、新築を取得した方の中で、1/4程度と言えそうです。
「地鎮祭をやらないと不幸になるよ!」というのは、統計的にみてもかなり無茶苦茶な論理と言うことが言えそうです。
地鎮祭をやった方が良い理由
決定的に「それはやった方が良いですね!」というケースを紹介していきます。
・亡くなった祖母の遺言で建て替える時は必ず地鎮祭をするように言われて育った。
このケース意外と多いです。
祖母という場合だったり親戚の人に言われたという場合があったりと様々ですが、過去に言えを建てた時に、事故や不幸があった時に、地鎮祭をやっていなかったことがあるとこういう話が出てきやすいです。
地鎮祭と事故を関連付けて考えるとこういう話が出てきます。
その結果、お施主様的には、どちらでも良いけどやっておこうというケースになります。
・地鎮祭をするかしないか、すっごく迷っている場合。
このケースの場合、すっごく迷う時点で、地鎮祭をやった方が良いと心の底では思っています。
ですが、お金的にもったいないかなと思っているのも事実。その結果迷うという事態になります。
この場合は、
「お金はかかりますけど、長年、家族みんなで住む家ですので、やらないで後悔すると辛いものがありますよ。
記念にもなりますし、出来るのは着工前のタイミングだけですから、やりましょう。」
とおすすめしています。
・新築行事を一式楽しみたいというケース
ケースとしては、意外とあまり多くはないですが、新築の行事は一通り楽しみたいというケース。
感覚的には、結婚式のオプションに近い感覚ですね。
「キャンドルサービス15万円ですけどやりますか?」
「一生に一度の記念なので奮発してやります!」
と同様の感覚で、
「地鎮祭、初穂料等併せて一式15万円程度で出来ますけどやりますか?」
「一生に一度の記念なので、やります。」
という感覚ですね。
こういう理由で地鎮祭をやるのって良いと思うんですよね。
せっかくの新築を楽しんで欲しいなぁと、新築の営業マン的には考えているので、「ぜひともやりましょう!」
とおすすめしています。
ちなみに、こういうケースで地鎮祭をされる方は、家族全員の参列はもちろんご両親やご兄弟もご一緒に参加されることが多いです。
紅白幕もはって、お祝いのイベントになって楽しいです。
地鎮祭をやらなかった我が家の理由
では、我が家の場合はどうだったかと言うと、地鎮祭はやりませんでした。
神仏を全く信じないわけではなく、神社のお参りなどは事あるごとに行くタイプですので、祈ることに関しては、重きをおいている方だと思います。
ですが、地鎮祭をやらないと不幸になるとか、やったから幸福になるということはないと思っていますので、地鎮祭としてはやりませんでした。
とは言え、全く無視も気が引けたので、「一人で更地に向かって、手を合わせて、心の中でよろしくお願いします。」と祈願はさせていただきました。
自分で地鎮祭をやる方法と言うと、あまりに簡易的なので、そこの判断は人それぞれに任せますが、個人的にはこれでも十分ではないかと思っています。
自分の中の神様像は器が大きいと思っていますので、
気持ちをこめて、よろしくお願いしますと祈っているのに、形式に囚われたり初穂料(お金)に囚われたりする神様だったら嫌だなと。。。
だってその土地にずっと住むんですから、気持ちの大きい神様であって欲しいとかってに思っていますが。
(神仏や宗教を否定する話しではないですよ。あくまで一個人の曲解です。)
地鎮祭とトラブルの因果関係
最後におまけとして紹介しておきますが、
我が家の場合、地鎮祭はやりませんでしたが、無事故で新築できましたし、新築に満足していますので、やらなかったことに関しての問題は、まったくないです。
逆に、地鎮祭をやったからトラブルがまったくないかと言うとそんなことはありません。
地鎮祭をやらなくて、クレームが起こる現場もありますし、地鎮祭をしたからクレームが起こらないということもありません。
してもしなくても、新築の出来栄えも含めて因果関係はないですね。
分譲住宅も多数販売していますが、クレームが起こる現場、起こらない現場は同様にしてありますので。
まとめると、地鎮祭はあくまで気持ちの問題です。
家族の中でやらないと心残りの方がいればやった方が良いですし、やらなくても問題ないのであればやらなくて問題がないと僕は考えています。